ごあいさつ

平成24年4月23日、3日間にわたる宗祖親鸞聖人750回報恩大遠忌が円成いたしました。図らずも当派の御遠忌が真宗十派の最後を締めくくる形となり、宗門内外から注目が集まりましたが、連日満堂の熱気あふれるご参詣で、厳粛かつ盛大に厳修することができました。様々な困難を乗り越え、僧俗力を合わせて50年に1度の勝縁に逢わせていただいた喜びを、皆さんと分かち合いたいと思います。

千年に一度といわれる大災害から時が流れましたが、現在も深い苦しみ、悲しみの中にある方々がおられることを、忘れてはなりません。
明日が来るのが当たり前のように思っていた私たちは、薄氷の上で辛うじて成り立つ日常であることを、命の尊さと脆さを、あらためて知らされました。煩悩具足の私たちは、幾度も過ちを繰り返してまいりました。如来はその私たちを哀れみ、悲しみ、なおもお救いになろうとしておられます。それでも喚び声に気づかぬ私たちであります。

「大悲の願船に乗じて光明の広海に浮かびぬれば、至徳の風静かに衆禍の波転ず」改装成った庫裏の大玄関に、御門主の揮毫による「徳風」の扁額を掲げました。如来の大悲の風によって逆巻く荒波は静かに浄土へ向かう波へと転じるのであります。

この時期にお迎えした御遠忌の意義をしっかりと噛み締め、朝な夕なに家族でお念仏を申し、一日一日を大切に過ごしてまいりましょう。

このたびのの御遠忌に際しては、宗門の現状を危惧される声、親鸞聖人の御教え、お念仏を、子や孫に伝えたいとの思いを、多くの方より頂戴いたしました。御遠忌は始まりです。守り伝えるべき伝統と大胆な変革が必要な部分があります。お同行ご法中の皆さんのお力をいただき、時代に合わせて柔軟に工夫を重ね、聞法の輪を拡げてまいりたいと思います。

各寺院におかれても、竹が節を成す毎に力を蓄え、再び青空に向かって伸びる如く、御遠忌を機縁とされ、お寺が再び人が集い語らう場になることを、仏法が心寒き世を生きる人々の暖となり、灯火となることを心より願うものであります。

平成24年5月14日

新門 釋 善志