北庭・南庭

出雲閣の北庭は、北隅に低い築山をきずき、本尊石などの石組をみるほかは、一面杉苔が飛石を埋めんばかりの、広く美しい苔庭です。

この庭には美しい石灯籠があります。この灯籠は光格天皇の御料で、石胴が荒れてはいますが火袋が雨にぬれると、はっきり菊のご紋章が浮かび上がります。この灯籠の真北の築山にある石灯籠も同じく光格天皇の御料品であります。

庭の東北隅篠竹がくれにある灯籠は、もと日本三大奇橋の一つといわれた福井の九十九橋(大橋)の橋柱で、明治の末、同橋が架替えられたとき、工事を請け負った浅水の吉田卯之助という方が本山の門徒であったので、わざわざ牛車で運んで寄進したものです。本山ではせっかくの懇志をいかすため、灯籠として利用されました。また、この灯籠の前に横たわっている長大な切石も同橋の石桁で、これほど完全に保存されているものは珍しいと言われています。

老紅梅の下に据えられています鞍馬石は、茶人の間で聞こえている宗旦狐の腰掛石です。

庭の西部一帯は、松杉その他の木立に、屈曲起伏のある一筋の遊歩道がとおり、その脇には笏谷石造等身大の十六羅漢像が点在しています。真宗の寺に十六羅漢像があるのは珍しいことですが、これは所蔵者宮崎家から寄進されたものです。

出雲閣の南庭を椿子園と言います。数十種の椿がご叢林をなし、毎春花時をかざります。標石に一句あります。

椿咲く暐曄煥爛毫摂寺  天光(天光とは光曜法主の俳号です。)